●20××年、夏、掛川

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持ち歌である「原色の空」を歌い上げた後も、「米倉×菅」はステージ上で歌い続けた。 米倉翔吾が「こめ」という名で「ボカロP」として活動していた曲を、菅賢一と一曲。 そして、マコトの読み通りというか、「米倉×菅」はこの夏フェスの為に用意したという新曲をサプライズとして、僕達「米倉翔吾ファン」の為に披露してくれた。 「今年の初めに、プロデューサーの小林さんからお話をいただいたんですね。 『僕達、毎年夏にフェスをやっているんだけど、よかったら来ないか?』って。 で、その時期は、米倉翔吾としてはツアーも終わっているので、是非って話になって。 そんで、その流れで菅くんとのユニットで前夜祭にも出る、って話にもなったんですね。 しかし、ここで問題が一つ出て来ました。 こうして前夜祭のステージに立たせてもらうのはいいんですが、何せこのユニット。 出来たのが最近だから、曲が無い。 もう、シングルとして出した『原色の空』しかない訳ですよ。 だから、ちょっと『ボカロP』やってた時の事を思い出して、ああでもないこうでもない、って曲を作っていってですね……。 で、その結果。 これなら菅くんと歌うのにピッタリかな、って曲が何曲か出来ました。 それでは、聴いてください『どっかんどっかんカーニバル』」 米倉翔吾の曲紹介が終わると同時に、後ろのサポートメンバーがBPMの早いアップテンポな曲を楽しげに演奏し始めた。 この夏のステージで歌う事を想定して作られた曲だからか。 速射砲のように、テンポよく二人が交代し歌われるその曲は僕達観客のテンションをさらに上げ、会場の盛り上がりは早くも最高潮に達した。
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