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その後、「米倉×菅」は、
「さらに、サプライズを!」
と言い、今度は打って変わってスローバラードの新曲を。
そして、最後にはこの夏フェスの中心的存在である某国民的バンドのカバー(「youthful days」という曲らしい)を二人で歌うと、米倉翔吾と菅賢一は颯爽とステージから去っていった。
「凄い良かった、サイコー!」
演奏が終わるとマコトは僕に向き直り、目尻に涙を溜めながら歓喜の声を上げた。
「新幹線の中で半分冗談で言ってたのに、まさか本当に新曲をやってくれるとか思わなかった!
しかも、二曲も!
ねぇ、さっき歌った曲!
配信とかCDとかで、出すのかな!」
「もしかしたら、アルバムでまとめて出したりしてな。
『米倉×菅』で。
つーか、それ。
何かあり得そうだから、ちょっと期待しちまう」
「アルバムとか出たら、絶対買う!
米倉さんがソロで歌うのと違って、二人の曲ってまた雰囲気が違うもん!
米倉さん、凄い楽しそうに歌ってる、って感じだったし!」
「菅さんと一緒に歌う、って思ったら米倉さんの曲作りもまた変わってくるんだろうな。
同じ米倉翔吾が作ってんのに、菅さんと二人で歌う曲は俺的にも新鮮に感じる」
言い終えた僕は、マコトと共に客席である「ゆったりゾーン」を後にし、開演前に言っていた通りフードエリアへと向かった。
「マコトは、何を食いたいんだったっけ?」
考えてる事は皆、一緒のようで、一斉にフードエリアへと向かう観客の行列に混じりながら、僕はマコトに対して訊く。
「ビーフステーキとモッツァレラチーズ、ポテト付き」
「痩せてんのに、よくそんな食えるよな……」
開演前と同じく、無尽蔵とも言えるマコトの食欲に僕は苦笑する。
「多分、食べたら全部ウンコで出てくる体質なんだろね、私。
だから結構食べても、あんまり体重が増えないっていうか」
「女が、ウンコとか口にするなよ……」
無邪気なマコトの様に僕は再び苦笑すると、フードエリアへと続く階段を降り、自分達の目当ての店がどこにあるのか、パンフレットを見ながらマコトと共に探した。
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