●20××年、夏、掛川

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フードエリアでマコトといったん別れ、それぞれが気になっていた店で昼ご飯を購入すると、僕ら二人は再び合流した。 「ホントに、それ買ったんだな。 ビーフステーキにモッツァレラチーズがかかってるヤツ……」 左右両手にフェス飯を持ち、満面の笑みを浮かばせているマコトの様に僕はただただ呆れる。 「だって、肉、食べたかったんだもんー。 さっき、結構激しく動いたし。 ってか、こんなチーズかかってるヤツとか最高じゃん。 で、肉だけじゃお腹空くと思って、パンも買ってきちゃった。 手作りの酵母パンなんだって、これ」 マコトは左手に持った皿に載っている、丸々と膨れあがったパンを僕に見せる。 「ってか、タクヤは何買ったの? なんか、凄い少食じゃね?」 「ぶっかけうどん、だよ。 こんな照りつける太陽の下で、マコトみたいにこってりしたモノ食えねえよ」 「……ジジイみたい」 マコトは笑うと、 「取り敢えず、座ろうか」 と言い、僕を引き連れ、フードエリアの中心に設けられたテーブル席へと座った。 「今、歌ってるの誰だっけ?」 マコトがフォークで肉を突き刺しながら、僕に尋ねてくる。 「lego big morl、ってバンドらしいよ。 結構、キャリアの長いバンドなんだって」 「へぇ」 フードエリアには、ライブエリアからの楽曲が役所の町内放送のように風に乗って聞こえてきていた。 「その後のゲストは、誰だっけ?」 「うーん、聞いた事のないゲストばっかりだな……」 テーブル席でパンフレットを広げた僕は、首をかしげる。 「でも、この最後に出るRasp berryってバンドは何か名前は聞いた事があるな。 俺、Twitterで『曇りめがね』って人と繋がってるんだけど、その人のブログでこのRasp berryってバンド。 紹介されてたからよ」 「そんな、凄いバンドなの?」 ちぎった酵母パンで、皿にこびりついたステーキのタレとチーズを拭いながら、マコトが僕に目を向け、訊く。
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