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●ウェイウェイ大学生
12月に行われた「根本会」は、年末という事もあり忘年会も兼ねて居酒屋で行われた。
この時期になると、「広田とマコトが付き合っている」という事実は、信也や森といった「根本会」の面々の殆どが知っており、広田の方も特に隠すつもりもないのか、「そうだよ」と、マコトとの交際をあっさりと認めた。
「いや、お前。
何で言わなかったんだよ、水くさいだろが」
広田の態度に僕は拍子抜けをすると、苦笑交じりに沈黙を続けていた理由を尋ねてみた。
「ガキみたいに自分からベラベラと喋んのもどうかな、と思ってよ……」
広田は刺し身を食べた後、僕に目を向け、説明を始めた。
「あと、マコトに止められてたってのもあるんだよ。
幸二と付き合ってるって事は、私の口からタクヤに言うから、それまで幸二は黙ってて、って釘を刺されてよ。
で、先月マコトから『私、タクヤに言ったから』ってLINEが来たから、別に言っていいかな、と思ったけど、特に訊かれてもいないから、それで言いそびれてたっていうか……」
「じゃ、広田。
お前、そのマコトちゃんを『彼女』としてココに連れてこいよ。
なんで、今日連れてこなかったんだよ」
太眉をピクピクと動かしながら、信也が広田に言う。
「断られたんだよ、行きたくないって」
広田は肩をすくめた。
「まぁ、それについては悪いって思ってるよ。
俺、有岡に『友達ってんなら、マコトをこの飲み会に連れてこい』って、散々言ってたからよ。
けど、マコトはどうしても嫌、って言ってきかねえんだよな。
理由は分かんねえけど。
なぁ、有岡。
お前、あの子とどうやって『友達』として付き合ってきたんだ?
あの子、難しいっていうか、ホントよく分かんねえ」
「どう、って言われてもなぁ……」
僕は苦笑いをするのみで、明確な答えを提示する事は出来なかった。
「そういや、広田ぁ。
お前、先月温泉に行ってきた、って言ってたじゃねえかよ。
それってもしかして、マコトって子と行ってきたのか?」
ココで、もう既に酔ってきているのか、森が赤ら顔で広田に尋ねる。
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