●日なたの窓に憧れて

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●日なたの窓に憧れて

マコトと二人、米倉翔吾のライブに行ってから一週間が過ぎた。 前述したように、Twitterでのマコトとのやり取りは以前より活発なモノとなっていた。 そして、そのやり取りは、大学にバイトという忙しない僕の日常において確実に心の癒しとなっていたのだ。 もちろん、マコトに言われた通り「実は女性」という彼女の秘密は、僕はフォロワーの誰にも明かさなかった。 そして、マコトの方もそれを知られて欲しくないようで、僕や他のフォロワーとやり取りする時、マコトは女性と思わせる素振りを一切見せなかった。 ──男だと思っている時は何も感じなかったけど、「女」だと分かるとマコトのこの成りすましぶりは凄えな。 いくら文字だけのやり取りとはいえ、Twitter上で徹底して「男」を演じ続けるマコトのその演技力と意思の強さに、僕は改めて感心する。 何故、彼女はTwitterなどネット上において「男」を演じ続けるのか。 その詳しい理由は、僕には分からない。 先日のライブ前、マコトはネット上で「女」をアピールするとロクな事が無い、と言っていた。 マコトがネット上において「男」を演じ続ける理由は、おそらくこの辺りであろう。 では、マコトはどのようなロクでもない目にあったのか。 それについて、興味が無いと言えば嘘になる。 そして、どちらかと言えば僕はマコトの口からその辺りの事を訊きたいとも思っている。 「友達」として交流を育んでいけば、いつかはその辺の話が聞けるのでは、と思った僕は大学に着くと同時に、マコトにLINEを送ってみた。 『今度の土曜か日曜、カラオケにでも行かない? CDも、その時に持ってきてくれたら嬉しい』 僕が送ったLINEは、すぐさま「既読」となった。 そして、数分後。 僕が教室に入り、着席すると同時にマコトから了承をしめすLINEスタンプが、楽しそうな文言と共に僕の元に送られてきた。
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