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●君が好きだと叫びたい
次の日、僕は松川駅で電車を降りると、マコトの店である「大吉」に向かって早足で歩を進めていった。
「大吉」に着くと、店内の照明は消えており、引き戸も鍵がかかっていた。
ぐるりと辺りを見回し、僕はふぅと一息つくと、店主であるマコトが店に来るのをバッグから取り出したスマートフォンで暇を潰しながら待った。
ニュースサイトや掲示板サイト。
Twitterにおける有名人の呟き、ダウンロードをしたものの殆ど手をつけていないソーシャルゲーム。
それらを僕がスマートフォン上で操作したり目にしたりしていると、ようやくマコトが姿を現した。
食材を買ってきたのか、両手にはパンパンに膨らんだ白いレジ袋をぶら下げている。
「どうしたの?」
店の前で僕の姿を目にしたマコトは、瞼をしばたかせながら言った。
「昨日の答えを聞きにきた」
僕は言うと、スマートフォンをバッグへと入れる。
数時間スマートフォンを操作していたからか、バッテリーは40%を切っていた。
「いや、答えを聞きにきたのはいいんだけど、ずっと店の前で待ってた訳?
こんな、寒い中……」
マコトは言うと、すぐに店の鍵を開け、僕を店内へ招き入れてくれる。
「っていうか、会社は? 今日、平日でしょ」
レジ袋をマコトはカウンター内のキッチンに置くと、ヤカンに火をかけながら尋ねる。
店内に掛かっている時計は、3時を過ぎていた。
「半休を取った。
午前中だけ仕事をして、退社したらそのまま松川のこの店に向かったんだ。
で、店の前で今までずっとマコトを待ってたって訳」
「喫茶店とかに入るなり、どっかで時間潰せばいいじゃない。
11月だってのに、そんな店の前で立ちっぱとか風邪引くよ」
僕の言葉を聞いたマコトは、呆れるように肩をすくめた。
「どこかで時間を潰してる間にマコトが店に来て、開店まで入口を閉じたまま仕込み作業に入ると、俺が半休取った意味が無くなるだろ?
だから、店の前で待った方がいいかな、と思って……」
「何も、そこまで私の答えとか待たなくても」
マコトは苦笑すると、ヤカンの火を止め、僕の目の前にほうじ茶を入れた湯呑みを置く。
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