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●パンケーキ食べたい
行列に並ぶ事、約20分。
僕とマコトの二人は、ようやく件のパンケーキの店に入る事が出来た。
「あの、『幸福のパンケーキ』
ネットで予約してるんですけど……」
二人掛けのテーブル席に座ると、マコトは店員にスマートフォンの画面を見せ、三時間ごとに限定20食と言われる『幸福のパンケーキ』を注文する。
感想から先に述べると、「幸福のパンケーキ」は絶品の一言であった。
「ヤバい! 想像していたのより、全然おいしい!」
マコトもパンケーキを食べた事により気を良くしたのか、いつもの饒舌ぶりを取り戻したようであった。
「機嫌、戻ってくれて良かった」
破顔したマコトを見て安堵した僕は、雲のように柔らかでありながら質量を感じさせるパンケーキをナイフで切り分け、生クリームを纏ったそれを一口食べる。
「うん、ふわふわしてる」
くどくなく、ほのかな甘味をもたらすパンケーキに、僕は舌鼓を打つ。
「メレンゲをホイップさせているから、こんなふわふわしてるんだって」
マコトは頬を緩ませながら言うと、エスプレッソを一口飲み、口内に残っている甘味をリセットさせる。
「でも、このタイプのパンケーキは、私。
いくつか食べた事があるんだけど、ここのパンケーキは本当レベルが違うって感じるよ。
ダメな店は、取り敢えずふわふわさせとけ、って感じでいい加減だから、何かパサパサしてるし、生クリームもクソまずいの使ってるから、二口食べたらもういいってなるんだよね」
「グルメなんだね、マコトさんは」
僕は口元を緩めると、お昼にラーメンを食べているのにも関わらず、それを忘れたかのように次々と切り分けたパンケーキを口に運んでいく。
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