●SINGLES

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●SINGLES

「さて、どうやって話を持っていこうかな……」 どうにか「根本会」を乗り越え、軽い二日酔いを抱えながら向かったバイト先での休憩時間。 僕は、スマートフォンの液晶画面を凝視しながら、マコトに「合コン」というイベントをどう切り出すべきか、思案していた。 『昨日は来てくれて、ありがと。 カラオケも面白かったし、楽しかった。 パンケーキもまた行けたら行こうぜ!!』 悩んだ結果、僕は取り敢えず昨日遊んだ感想を切り出しの言葉として選び、マコトにLINEを送った。 その後、昼飯であるコンビニのおにぎりを食べていると、マコトから返信があった。 『アリガト♪ パンケーキは私も前から行きたかったから、タクヤが気に入ってくれて嬉しい☆』 最初にこの返信が来ると、いかにもマコトらしいというべきか。 マコトは自らが貸した「こめ」のCDの事や、僕がカラオケで歌った曲の感想など様々な事を、こちらが読むのが困難と思える程の長文を僕に対して送ってきた。 『あのさ、全部文字で答えてるとバイトの休憩終わっちゃうから、ちょっと電話していい?』 LINEを通じて僕は電話をする旨をお願いすると、マコトから「OK」という返信が、愛嬌溢れるパンダのスタンプで返ってきた。 「もしもし?」 僕は早速やり取りをメッセージから電話へと切り替えると、宣言通りマコトに電話をかける。 「はいはーい」 マコトは、両手を大きく振って歩くような陽気な声色で僕の電話に出た。 屋外なのか。 電話の向こうからは、ビュービューと、風が空間を切り裂く音が聞こえてくる。 「『こめ』のCD、ありがと。 何か、ボーカルが米倉さんじゃないから不思議な感じなんだけど、メロディーは米倉さんっぽいからすげえ楽しんで聴いてる」 取っ掛かりとして、僕は「こめ」のCDの感想を電話で述べると、ゴールである「合コン」へどう話を持っていくか、その工程を脳内で作り上げていく。
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