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赤い口紅を、買った。
それはわたしが生まれてはじめて買った化粧品で、それも、まさか高校生の今、手にするとは思ってもみなかったブランドの口紅。
テスターを付けてくれた販売員の女の人は、よく似合っていると言ってくれたけれど、きっとそれは買わせたいための社交辞令に違いなく。
鏡の中で唇に赤を差したわたしは、思わず笑ってしまいそうになるくらいに滑稽で、少しも似合ってなんかいなければ、綺麗でも可愛くもなかった。
どうしても感想をつける必要があるのなら、とても、とても、可哀そうに見えた。
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