No.1 その引き金を引く覚悟

1/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/7

No.1 その引き金を引く覚悟

今まで、ずっと夢見ていたことが、今日遂に叶う。それは、犯罪をすることと同義だ。 だが、結局犯罪など慣れだ。一回手を染めれば、もう反感など一切持つことはない。それに、犯罪に手を染めたいからこんなことをするわけではない。 「ここが、そうか……」 俺の名は、林圭吾。今年で22歳を迎えた。そして、今日は俺の夢が叶う。それも、この場所はいわゆる『闇のオークション会場』っていった感じのところだ。 不法な取引が一日中行われていて、人身売買とかいう、かなり不審な奴もいる。そんなところに俺が来たわけ、それは『銃を持つ』為だ。 それならアメリカに行けという話しでもある。アメリカなら普通の銃を持つことが幅広く受け入れられているし問題はない。だが、難点がある。俺は英語が喋れないのだ。全力で勉強したが、無理だった。だが、そんな俺でも銃が持ちたかったのだ。 言ってしまえば、俺はどうしようもない銃オタク。ほとんどの銃を知りつくし、俺に敵う銃オタクなど、指で数えられるほどしかいないだろう。 ただ、俺は結構特徴的だ。何故なら、俺が求めているのはスナイパーライフルでも、アサルトライフルでもない。俺が欲しいのは、ハンドガン。それも、ピストルだ。 ずっと夢見てきたあのデザイン。銃と言えばといった感じの格好いいフォルム。まさに、目が離せないという言葉そのものだ。 そして、今回買う銃こそ、『スチェッキン・オートマチック・ピストル』だ。 なにそれ?と思う人の為に簡単に説明しておけば、フルオートのピストルだ。 人によっては、『スチェッキン・マシンピストル』とも言う。それはどっちでも構わないがな。 結構な値がする。まさに、モデルガンとは段違いなくらいの値だ。子供の頃からこの日を夢見て、少しずつ貯金をしていったからこそ、買えるのだろう。 今まで美味しそうなお菓子、面白そうなゲーム、色々なものを見てきたが目も向けず、銃にだけこだわってきた結果だ。 ……さて、ようやくこの場所に来た。もう、銃を売っている悪徳商人の目の前だ。それと同時に、スチェッキン・オートマチック・ピストルも目の前にある。 悪徳商人は結構悪そうな見た目をしているが、俺は別にビビらないで話しかけた。ここに入った時点で、悪そうな奴等に目を付けられっぱなしだ。当然、ビビるわけもない。 「おっさん、スチェッキン・オートマチック・ピストルを予約していた者だ」 「おう、来たかガキ。とりあえず前払いだ、早く払え」 そう言えば、ここは前払いが規則だった。そのかわり、払わせるだけ払わせて追い払うのも規則上不可能。上が上で柄の悪い連中だから、いくら悪徳商人でも従うだろう。 俺は、なんの不信感も持たずに金を渡した。 「ケッ、ガキの癖に金を持ってやがるな。仕方ねぇ、これをくれてやる」 金を渡すと、やはりあっさりと銃を渡した。こんなあっさりと夢が叶うなんて思わなかったが、達成感はまさに凄まじい。嬉しい限りだ。 ここは、銃を貰ったらもう用なしだな。小便臭いのも我慢してたところだ。俺は、ニヤケながら闇のオークション会場を出る。 ここは、コンビニとマンションに挟まれた路地にある階段から中に出入り出来る。人通りが少ないため、警察沙汰になることもあまりないらしい。俺としては都合が良かった。 とりあえず、もう家に帰りたい。こんなところだから悪いことは言わなかったが、あの悪徳商人の銃の使い方は煩雑だ。渡すときも投げてきたし、数ヶ所に傷もついている。もっと銃に愛情を注ぎ込むべきだ。暗くなってきたし、早く帰って手入れせねば。
/7

最初のコメントを投稿しよう!