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メモリ01
(まだ八時なのにこんなに暑いんだ)
野々宮七海は携帯で時間を確認した後持ってきていたハンカチで汗を拭いた。
空からは容赦なく日差しが降り注ぎ、その
暑さで憂鬱になりながら下駄箱で靴を替えて教室に向かう。
それに今日から三日間、期末テストがあるのも憂鬱にさせる原因だ。
勉強が苦手だと自分でも理解しているつもりだけどテストの度、周りから「その点数ヤバくない?」と笑いながら言われるのが辛かった。
冗談で言っているのは分かってるけど自分の悪いところを笑いのネタにされて良い気にはなれない。
「はあ・・・嫌だな」
「おはよう。七海!」
重い足取りで教室に向かう最中で挨拶してきた槇原由衣に「おはよう由衣ちゃん」と答える。
由衣ちゃんは私の唯一友達と呼べる存在で私が悲しんでいたりするとはげましてくれる。かけがえのない大切な友達。
「朝からそんな暗い顔をしない!」
「だってテスト嫌なんだもん・・・」
「そんなの私だって嫌だって(笑)好きな人なんていないでしょ」
「由衣ちゃんは頭良いからなあ」
私の順位が下から数えた方が早いのに比べ由衣ちゃんはいつも上から二十位圏内に入っている。お互い部活には入ってないから勉強出来る時間は変わらない筈なのに。要領の差なのかな・・・。
「七海、私が教えた範囲は復習した?」
「したけど・・・」
「なら大丈夫だよ。頑張ろう?」
由衣ちゃんの笑顔に勇気づけられ「うん」と頷いていた。
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