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「それは、僕が頼りないってこと?」
普段のブリザードが5割増で、更に黒いオーラを背負っています。
「違いますよ」
「だってそーゆーことでしょ⁈」
「そんなこと言ってないじゃないですか」
突然怒り始めてしまいました。
とりあえず落ち着いてもらおうと顔を覗き込むと、思っていたのとは裏腹に泣きそうな顔をしていました。
目もうるうるして涙が溢れそうです。
思わず手を伸ばし、涙を拭います。
「違いますって」
「でも、奏夜は僕のこと頼ってくれたことないじゃん」
「それはそうかもしれません」
園川先輩が更に落ち込んでしまいました。
副会長さんが責めるような目でこちらを見ているのを感じます。
「でも、先輩は今日、俺のことすごく心配してくれたじゃないですか」
「え?」
「嬉しかったですよ?」
「そんなの当たり前」
「それでも、それを当たり前と言える先輩が、俺を心配してくれる先輩が俺は好きですから」
ああ、せっかく拭ったのにまた先輩の目から涙が溢れてきてしまいました。
うーん。園川先輩の泣くポイントが分かりません。
腕を伸ばし、園川先輩を引き寄せ抱き締めます。
「今日は心配させてしまいすみませんでした」
「うっ...怖かったんだからぁ」
先輩がぎゅっと抱きつき顔を押し付けてきます。
困りましたね。こうなると長いんですが。
副会長さんの方を見ると目が合い、ため息をつかれました。
目の前でなにいちゃついてんだって感じですかね。
すみません。こうなるって予想してなかったんです。
その後、心得たとでもいうように頷くと静かに子犬さんを回収して部屋を出て行きました。
パタン
やっぱり、副会長さんと園川先輩の関係性って謎ですよね。
多分、副会長さんは園川先輩がこうなったら長いってことも、なぜ泣いているのかも分かっているんでしょう。
「うぅ...ひっく」
結構、本格的に泣き始めてしまったかもしれません。
背中をとんとん、と叩きながらどうしようか考えます。
「先輩」
「ひっく..なに?」
「夏休み中、一緒にどこか遊びに行きましょう」
「え?」
先輩が驚いて顔をあげます。
かわいい人の泣き顔ってかわいいですよね。
俺のなんて絶対ブサイクですけど。
「ほんとに?」
「はい。どこ行きたいか考えておいてくださいね」
「2人?」
「はい。あ、他の人も誘いたかったらいいですよ?」
「ううん。絶対2人がいい」
めっちゃ食い気味に返事されました。
「デート、ですね」
「でーと...」
ぼんっ
あ、赤くなった。
「ふふ、楽しみですね」
「...うん」
よしよしすると、花が綻ぶように笑みを浮かべます。
かわいいなぁ
「ご飯、作りますか」
「うん」
これから俺は、明日の為にもご機嫌取りしないといけません。
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