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「付き合ってる人いたんだね」
同時に二人の人にそう言われて、私は返答に困った。普段、人と会話し慣れていないせいで、なにをどう返せばいいのかすぐに出てこない。
私の慌てている様子を察したように、また別の人が言った。
「え? 付き合ってないの? なんか、意味深な雰囲気だったけど。あの子とはどんな関係?」
「ち、違います。付き合ってないです。あの子は、トモダチです!」
「うっそーー。あの子は絶対に佐土さんのこと好きって感じ出てたけどなぁ」
私と同じ年の南川さんが、いかにも女の子という声でそう言った。
「そんなこと見ただけでわかるの?」
驚いて質問すると、彼女はうふふと笑ってから「LOVEビームが出てるんだもん」と、のほほん口調で言うと、そこにいる皆がうんうんと頷いた。
そういえば、昨日。私も見たじゃないか。
ユキヤの腕に絡みつく彼女は、熱視線をユキヤに向けていたのだ。
人は、自分のことは見えないけど、他人のことは良く見える。
そう思ったら、なんか急に裸を見られているような気がして、首を縮めた。
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