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子供時代
小学校低学年の頃、学童保育というのに通っていた。共働きの家庭だったのだが、同じような状況の子供たちは思いのほかいた。
通っていた学童保育がある一階は児童館、二階は図書館で、外にはだだっ広い公園があった。
小学校低学年ともなると、だいたい皆外に出て遊ぶ。本を読むなどして保育所や図書館の中にいる子は少数派だった。
私といえば、その当時で既に子供向けの文庫本を週に20冊は読むほどの本の虫ではあったが、雨の日以外は皆にならって外で遊んでいた。
ブランコや滑り台、シーソーなどいくつかの遊具もあり、公園を囲い込むように並ぶ木々や草花などの自然もあった。
子供の私たちにはよくわからない、小難しい漢字が彫られた記念碑の岩によじ登ったり、
鬼ごっこで駆け回ったりして遊んだものだった。
夏の定番はセミ捕り、皆で虫かごがいっぱいになるほどセミを捕まえた。カブトムシは流石にいなかったのだが、蝶々なんかも捕まえた。
公園には、いくつもの蟻の巣があった。
子供らしい好奇心で、蟻の巣を壊したらどうなるんだろうと試してみた。
そこら辺に落ちている細い木の枝で、蟻の巣穴を突っつく。
すると溢れ出すように、慌てた蟻達が地上へ次々と出てくる。
その様子に気を取られていると、勇敢な蟻が自分の足まで這い上がってきて噛まれるのだ。
単なる好奇心から、なんだか申し訳なくなる瞬間であった。
そこからは蟻の巣にちょっかいを出すこともなくなった。
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