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六
一息ついた瑞香は、頼んでもいないのに自分の前に置かれている目の前のグラスに目を落とす。時間が経ったせいか汗をかいていた。
両手で握り、構わず口に運ぶ。一口飲んで口内を潤した。
驚いたことに、それは瑞香の好きな果物の味のする水であった。
「これ、どうして」
「美味しいだろう」
「また飲めるなんて思いませんでした」
「まだまだたくさんあるぜ」
瑞香は太郎の言葉を聞き、残りを一気に飲み干した。
そこへ太郎がすかさずおかわりを並々と入れてやる。瑞香は更に一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりだねえ。もっと飲みな」
嬉しそうに太郎が注ぐ。
「話してくれて、ありがとうねえ」
昭子が瑞香の肩を優しく叩く。
「まったくトチ狂ってやがるな」
太郎も唇を片方だけ斜めに上げて鼻で笑った。
「てことはさあね、その司はその後瑞香さんを殺したってことよね。そこで記憶が切れるんだから」
昭子が何杯目かわからぬ酒を太郎に注いでもらっていた。
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