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瑞香は三人の元に寄り、三人が目を向けている方角に自らも目を向けると、見慣れた家とその辺りがぼうっと夜闇の中に明るく浮かび上がって来た。
家の庭と反対側に位置するこの畑は生まれて始めて瑞香が野菜を作った畑でもある。
そして、改めて考えてみると、そんな愛おしくもあった畑に自分の死体が埋められている状況にやはりなんとも形容し難い気持ちにもなるのであった。ふと小首を傾げた。
家から揺れ出てくる白い煙はなんだろう。首を前に伸ばし目を細める。
煙は家の窓のすきまから出るとゆっくりと家の周りを一周し、それから庭に植えてある梨の木のところで止まり、木の根元から上まで行ったり来たりした。
その後、庭の片隅にある小屋の方へ流れていった。
自分の記憶の中にある小屋とは随分と違って見える。小屋は古びており、所々木が剥がれているところもある。
南京錠はどこにも見当たらない。既に外されていた。
白い煙は小屋の周りを同じように周り、剥げた木の合間から中へ吸い込まれていった。
しばらくするとすうっと外に出てきた。
そのまま小屋を抜けて自分たちの方へ近づいてくる。
白い煙は徐々に人の型に変わっていった。
「おいでなすったぜい」
太郎が誰にともなく言うと、瑞香が吸い込まれるかのように一歩、また一歩と白い煙の方へ近づいていく。
「私、思い出しました」
瑞香は司を目の前にしたとき、今までのすべてをはっきりと思い出した。
太郎と侍と昭子は知らぬ間に影の中に消えていき、畑に残るは瑞香ただ一人だけとなった。
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