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「なるほど。それが知りたくてこんなところで待ってたというのか。おかしいものだなあ。おまえはここでいったい何十年待っていたんだ。よし、わかった。そんなに知りたいなら教えてやろう。まだ忘れちゃいない。ようく覚えてる。お前は小屋の中のものに気づかなければまだ生きていられたんだ」
そうだ、あの小屋の中には人がいた。私はそれを助けようとしただけだ。それなのになんで。
「あの人は、あの小屋の中にいた人はどうしたの」
「これはこれは。まだそんな呑気なことを言ってるのか。君は殺される前にもその女のことを気にかけていた。君にはまったく関係のない女なのに。そこまでお人好しだとは。そんなに言うなら君の知りたいことを全部話してやるよ。まあ待ちなさい。順を追って教えてやるから」
瑞香を嘲笑い、馬鹿にして続ける。
忘れ物に気づき家に戻って見ると、お前は何かを探していた。何を探しているのか気になって見ていたら、鍵、鍵、小屋の鍵と声に出していたのでようやくあの小屋の鍵を探しているってことがわかった。しかし、その鍵はいくら探しても見つからない。
だって、俺が持っているんだから。
なのに一生懸命探していて、見ていておもしろかった。おまえがどういう行動に出るか、隠れて見ていた。でもだ、俺の部屋に入ってもらっては困る。中には見られたくないものがたくさんあるからね。お前にも見られたくないものの一つくらいあるだろう? そうだろ? しかし、おまえは入ろうとした。一線を越えたんだよ。だったら俺がやることは一つしかない。
おまえはいるはずのない俺を見たとき、目が恐怖に震えていた。だからか、俺がナイフを手にちらつかせてみせても逃げることなくその場にいた。恐怖で動けないんだとすぐにわかったよ。すごく怯えた顔をしていた。
じわじわといたぶろうと、手始めに畑の野菜の下に埋まっているもののことを話したら、おまえは体を大きく震わせ、耐えられずに吐き散らかした。
吐き散らかした吐瀉物が口の周りについていた。
俺がお前の首に手を回した時もただ震えるだけだった。
「だから、簡単だったよ。『この前の』みたいに騒がなかったから。すうっと力を込めていった。あそこまで騒がないのも初めてだったから、俺の方が驚いたよ」
その後、体を、頭、右腕、左腕、胴体、と順に八つにバラしてこの畑に埋めた。
ここに右腕、ここに右足、ここに胴体と、埋めた場所を踏みつけて歩く司は人を虐めて困らせて楽しんでいる。
「そして、そこに頭」
指をさしているところは、瑞香が今立っているところだった。
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