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爛れた馴れ初め話(カーティス)
カーティス・ファーバー。現在二五歳。所属は暗府、六年目だ。
小柄で色白、顔立ちは中性的。性格は奔放。鳶色の長い髪を後ろで束ね、蠱惑的な青い瞳はおじ様達をドキドキさせる魅力がある。
こんな彼には今、お付き合いしている恋人らしき者がいる。騎士団に入ってからずっとお世話になっている暗府の先輩であり、同室者。どこかつかみ所がないその人と恋人になったのは、恋や愛なんてロマンチックなものは何もなくて、もっと爛れたものだった。
夜の宿舎の一室で、濡れた淫靡な音が響く。それに混じって艶やかな少年の声もまた、甘く甘く響いている。
「やぁぁ、リュークス先輩おっぱいもうイヤぁ」
ベッドの上で裸に剥かれ、白魚の様な体を悩ましくくねらせるカーティスは上に陣取っている人物に、涙目になって訴えた。
小ぶりな乳首は通常時よりも赤く大きく尖り、息を吹きかけられただけでゾクゾクするくらい敏感になってしまっている。
それなのに目の前のエロ先輩は舌でチロチロと舐め、時折吸い上げて周囲まで丁寧に刺激してくる。
「こっちはイヤって言ってねーよ、子猫ちゃん。ほれ、乳首だけでイッてみ」
「ヤダよぉ、そんな変態みたいなの。俺、女の子じゃないんだよぉ?」
「男でも開発すればイケるだろ。お前も何度もやってるだろ」
「どこの誰がこんなにしたんだ!」
強がって言ってももう腰が立たない。腰骨の辺りがジンジンして、腹の中がキュンキュンする。昂ぶりからはトロトロの先走りが溢れて根元までドロドロだ。
視線を下げると男前が、ちょっと興奮してる顔で乳首に吸い付いている。硬そうな金髪に、薄青い瞳。ちょっとチャラそうな顔立ちに、笑うと見える八重歯が特徴的な人だ。
「リュークス先輩、赤ちゃんみたい……」
「んじゃ、頑張って母乳出してみるか?」
「出るわけないじゃん、変態先輩!」
「出るかもよ? カーティスの乳首すっごくビンビンになってて敏感で……あ、母乳出るの想像したらちょっと腰にくる」
「アホ!」
出てたまるかそんなもの。第一母乳が出るってどんな体質になったんだ。こっちは男だぞ。
「ほら、母乳はいいから違うミルクだしちまえよ。乳首きもちーだろ」
「だからどうして胸ばかり開発するのさ変態先輩……っ!」
ちゅぱちゅぱ吸っているだけだった乳首を甘噛みされ、もう片方を爪で引っ掻かれる。突然きた強い刺激に背がビリビリして腰が揺れる。腹の中が熱くてたまらない。もう、イッてしまいそう。
それを感じ取ったのか、リュークスはニヤリと笑った。
「腰揺れてんぜ、カーティス」
「ふっ、はぁぁ……あぁぁ、ダメぇ! 乳首でイクのやらぁ!」
既に遅いと言わんばかりに快楽が膨れ上がって腰が止まらない。腹の中が切ない。腰骨が重く痺れる。前を触られもしてないのにイクなんて癪なのに止まれない。
「やぁぁ、イクぅ! あぁぁ!!」
切なさがせり上がって腹の奥がギュゥゥと絞られるように疼いて、カーティスは達した。なのに前からは何も出ない。体はビクビクと跳ねているのに、男の方では達せられなかった。
「ありゃぁ、メスイキしたか」
「もっ……はぁん! 最悪だぁぁ」
「女の子役のカーティスにはいいじゃん。それに、メスイキしたから多分後ろ緩まってるよ」
敏感になっている体を気遣う事もなく、リュークスは指二本を後孔へと宛がい、遠慮無くズブズブと挿入していく。せり上がるゾクゾクする快楽と、無遠慮に刺激される前立腺。イッたばかりの体がこれに反応して、腰が跳ねるのもイクのも止まらない。
「やっ! とまんな……ひぁ! あぁぁらめぇイクのとまらないよぉぉ!」
頭の中が強い刺激にスパークして痺れていく。弓なりに背がしなってどうしようもない。突き出すような乳首をまた舐められて吸われて、中も乳首も全部気持ちよくておかしくなりそうだ。
「凄いぜ子猫ちゃん、中がキュウキュウに締まって、熱くてうねってたまらん。ほれ、もっと弄ってやるから楽しみな」
「イヤだぁ、っ言って……もっ、イクのだめぇぇ!」
中だけで何度もイクと力が抜ける。指を咥え込んだまま奥に欲しくて辛い。一番気持ちいい場所を知っているからたまらない。
この状態でトロトロの昂ぶりをリュークスが咥え、奥まで入れて吸い上げられたからたまらない。熱いものが駆け上がって悲鳴のような声を上げて、そのまま喉に全部流し込んだ。
「はぁ…………あっ、らめぇ……力、入らないぃ」
「濃いの出たな」
お掃除フェラまでしてから顔を上げたリュークスはイッた後の敏感な昂ぶりを更に刺激する。特に先端を執拗にされて、射精とは違う感覚にカーティスは焦って声を上げた。
「だめ! だめぇ! やだやだっ、お漏らししたくない!!」
「やーだ。おら、しっかりぶちまけろ」
敏感過ぎる先端を撫で回されながら中も刺激されると止まらない。我慢出来ないムズムズ感は増していく。でもここはベッドの上で、人前で。ひたすら「イヤだ」を繰り返してもリュークスは許してくれない。
そのうちに我慢も限界にきて、涙を流しながらカーティスは陥落した。
「やっ、やぁぁぁぁっ!」
先端を指でほじくられた瞬間、決壊したように透明な水が吹き上がる。人前でお漏らしをしているような羞恥心と、我慢していたものを解放された気持ちよさ。一度出てしまったら止められるわけもなく、最後まで出きってしまうまでチョロチョロと溢れ出た。
周囲は水浸しになっている。その中心で呆然としているカーティスは、徐々に腹が立ってリュークスを睨み付けた。
「もぉ、どうすんのさこれ! 俺今日寝られないじゃんか!」
ベッドが水浸しだ。
けれどリュークスはまったく知らん顔をしている。
「気持ちよかっただろ、ハニー?」
「そりゃ最高に興奮して気持ちいいよダーリン。って、違う! 俺の寝床!」
「あぁ、大丈夫。シーツの下に耐水性の布敷いてある」
「……いつの間に」
試しにシーツの端をめくってみると、シーツの下には野宿などにも使う耐水性の厚手の布が敷いてあった。
「今日はたっぷり楽しみたかったから、想定して」
「妙な準備しないでよダーリン。俺、本当に焦ったよ」
こんなに疲れているのに寝るところ水浸しで気持ち悪いとか完全なる嫌がらせ。だからってこの気遣いするよりも潮吹きとか止めて欲しかった。
「あーぁ、気持ち悪いし腹の中まだキュンキュンするし」
ついでに息子は萎えた。そりゃ、あれだけ出せばそうなるよ。
けれどリュークスはニッと笑う。そして綺麗なタオルでカーティスの体を拭くと、萎えてしまった息子を口に含んで、ねっとり舌を絡ませながら刺激し始めた。
「もぉ、リュークス先輩の攻め方ってすっごくねちっこい」
「嫌いじゃないだろ? ハニー」
「嫌いじゃないよ、ダーリン?」
裏筋や先端、割れ目まで舌で刺激され、喉奥まで使って奉仕されれば多少その気になる。
リュークスが前を刺激している間に、カーティスはまだ疼いてたまらない後孔に指を突き入れて掻き回して準備した。
「んっ、もういいよ。ってか、後ろゆるゆるだからそのまま突っ込んで」
「了解、カーティス。ほら、上乗れよ」
「えー、対面座位? これ、俺苦しいんだよな……」
でもその苦しいのが気持ちよかったりするんだ。
文句を言いながらもリュークスの上に乗ったカーティスは、ゆっくりと彼の昂ぶりの上に後孔を合わせて腰を落としていく。
彼の形を覚えているようにズブズブと美味しそうにリュークスを飲み込みながら、駆け上がるゾクゾクする快楽を堪能した。
「あっ、あぁ、いぃ……先輩の、熱い……」
「お前の中も熱いぜ、カーティス」
腰に手を添えられ、そのままゆっくりと飲み込む。そうして全部が入ると、腹の中がとても苦しくて満たされる。欲しい部分までしっかり入り込んでいるのが分かる。
「先輩の、長い……」
「短いよりはいいだろ?」
「長けりゃいいってものでもないでしょ?」
まぁ、長い方が奥まで届いて気持ちいいけれど。
腰を使って中でたっぷり擦りつけるようにすると、余裕だったリュークスの目に熱が籠もる。気持ち良さそうなこの顔が実は大好物だ。そしてこの長くて熱い肉棒が中を行き来するのが気持ちいい。奥の奥まで届きそうで、何度も腰を落として貪った。
「くっ、最高に気持ちいいぜハニー」
「それはどうも、ダーリン……それじゃ、覚悟してね?」
「……え?」
片方の口の端が上がって、可愛い八重歯が見える。しくじったという顔をするがもう遅い。さっきのことを、カーティスは許していない。
後ろを搾り取るように意識して締めつけながら長いストロークで絞り上げる。奥で擦ると気持ちいいのは知っている。そうして何度も腰を使えばリュークスの方がトロ顔だ。
「あっ、いっ……お前の中……はぁぁ、出るっつの!」
「あはぁ、いいよぉ。沢山出しなよ先輩。俺の中で無様に射精しちゃいなよ」
こっちでカーティスに主導権を渡したのが運の尽きというもの。熱くうねる内壁でたっぷり扱きながら搾り取るようにすると、中でビクビクと反応して大きくしていく。それが奥を突き上げると気持ちいい。
「ハニー、ごめ……あぁ! 俺が悪かったから緩め……マジ出る!」
「んっ! あぁぁ、出てるぅ」
最奥に押し当てながらグリグリと先端を擦りつけるように動くと、あっさりと陥落するリュークス。それだけでぐったりしたようにベッドに寝転がったが、これでカーティスが許すはずがない。更に絞り上げて腰を落とした。
「ひぐ! あっ、あの……ハニー?」
「あっれぇ? これでギブなんて、言わないよねダーリン?」
「……ごめん、俺が調子に乗りました。許して子猫ちゃん」
「聞こえないなー、ダーリン」
にっこりいい笑顔で、カーティスは更に激しい腰使いでリュークスを攻めあげるのだった。
事後の気怠さはよくあるが、今日は張り切りすぎた。でも、思う存分搾り取ってやって満足だ。
「ハニー、俺を種なしにするのかい?」
「俺だけ愛してくれるなら、種なんてなくても大丈夫だよダーリン」
「いや、種は欲しいです」
ベッドに突っ伏したまま白旗を振ったリュークスに、カーティスは事後処理をしながら返す。恋人ならここまでしてくれるんだろうが、これはハニートラップの練習なんだから仕方がない。今日は引き分けだろうか。
「お前の中、マジ凶器。落ちない男いないだろ」
「アンタが仕込んでくれたんだから当然だろ」
この人とは同室で、先輩と後輩の関係。そして互いに暗府で、ハニートラップを鍛え合う仲。丁度リュークスは攻めで、カーティスは受け。バランスもよくて、たまにこうして抱き合っている。
が、恋人ではないのだ。
「最初は何にも知らない可愛い子ちゃんだったのにな」
「そんな俺をここまでの名器に仕込んだんだから、アンタはいい先輩でしょ?」
「いいのかねー」
中も綺麗に掻きだして、一応軟膏も塗ってからシーツを取り替えた。
「なんかさ、責任もちょっとは感じるわけよ俺は。こっちの世界にいるなら必要なテクかと思って仕込みはしたし、お前才能あるから面白くて鍛えまくったけどさ、そのせいで恋もしないでテクだけなんて健全じゃねーなって」
「なにさそれ」
何を今更言うんだ。
「……じゃあさ、アンタが俺の恋人になればいいんじゃないの?」
「……あ?」
「いや、俺アンタの事嫌いじゃないよ。ちょっとチャラいけど、優しくて面倒見がよくて。それにエッチが気持ちいい。体の相性もいいでしょ」
「まぁな」
「アンタに好きな人がいなくて、責任っていうなら付き合う? 俺はいいよ」
ふと思っただけの提案だったけれど、案外悪くないんじゃないか。カーティスはこれでリュークスを頼りにしているし、組んで仕事をする事も多い。体の相性はいいし、優しい一面もちゃんと知っている。そういう部分は好きだ。
リュークスは少し考えている。けれどわりと早く結論を出した。
「付き合ってみるか」
「あ、受け入れた」
「いや、俺もお前の事嫌いじゃないよ。茶目っ気があって天邪鬼で、負けず嫌いで気が強い。けれど結構周囲に気も使っていて、空気を大事にしたりもするし」
「……恥ずかしい」
そんな風に思っていたのかと思うと、ちょっと恥ずかし。けれど、嫌いじゃない。
リュークスが立ち上がり、カーティスのベッドに潜り込む。そして当然のように胸の中に収めてしまった。
「え??」
「恋人なら、一緒に寝るのが当然だろ?」
「……かも」
なんか、今更こっぱずかしい。でも、胸に触れて感じる鼓動とか好きかもしれない。この人の体臭とかも、わりと好きなんだ。
「……恋人なら、キスくらいしたら?」
恋人じゃないから今までキスはしなかった。でも付き合うなら、キスして欲しい。
「そうだな」
優しい笑みに毒はない。見下ろされて、どちらともなく唇を寄せてキスをした。それはとても心地よくて、ゾクゾクと心地よいものだった。
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