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ネイサンの秘密(ネイサン)
定例のゲームは、オリヴァーというイレギュラーを加えて無事に終わった。結果、オリヴァーが二敗、カーティスが一敗、クラウルとネイサンは無敗だったが、何故かクラウルは罰ゲーム状態だった。
遊んでいるようでこれも訓練の一つ。相手の表情を読み、自らの表情は隠す。思考を悟られぬように努め、平常心を保つ事。
「そういえばそのトランプ、妙に硬いですししなりますね。さっき壁に刺さったし」
「あぁ。これはだいぶ昔にランバートから押収したものだ。出来がいいから確認してもらった」
「仕込みの靴は他の暗府が貰ったんだ。アレも出来がいいよね」
「……押収品掠めるって、どうなんですか?」
「持ち主に確認を取ってもらったなら、問題ないけれどね」
オリヴァーは呆れたようだが、本当にこの二点はできがいい。暗器は擬態出来てなんぼだから。
「それにしてもさ、ネイサン全然負けないよね」
カーティスが不満そうな顔で言う。それに、ネイサンはのほほんとした笑みを見せた。
「背水の陣だからね」
「そんなに言いたくない秘密かけてんの?」
「まぁ、そういうことだよ」
誰にも言わない危険な秘密だからこそ、絶対に負けられないんだよ。
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