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なのに、尊は俺の背中に両腕を回してピッタリくっつくと「えぇー」とか文句を言うこともなく静か。素直に寝ようと目を閉じた?
だとしたら、明日は雪が降る。真夏の盛りに雪が積もるぞ。裏庭で雪合戦やったり雪だるまでも作るか?
……なんて。密着している胸から伝わってくる尊の鼓動はドクンドクンと早いし、体もやや熱い。けれど、静かなまま規則的な呼吸音が聞こえる。
…………よし。ちょ、ちょっとだけ。
うっすらと目を開けてみたら、尊は目を閉じていた。口は開いていた。って、口呼吸!?朝起きたら口の中とか喉がカラカラになるやつじゃん!
いやいや、そうじゃなくて。俺としたことが、思わぬことに気を乱してしまったな。
こいつが、このまま寝るのか?もしそうなら、俺も寝るしかない。けど尊はきっと、今夜は俺に心行くまで愛してもらえると思っていたはずだ。
そんなオーラがダダ漏れだった。だったら俺は、尊を素直に抱くべきだ。だが。と、しっかり目を開けて悩んでいたら、尊の口が動いた。
「ねぇ三日月。2日連続じゃあオレの負担になるからって、今夜はしないでいるんだって思ってたんだけど。本当はオレ、すっごくアレしたいの我慢してんだけど。三日月がそんな反応するなら、期待してもいいってこと?」
「えっ!?あ、え、ちょっ……み、尊……」
思わず声が裏返った。だって尊の目は開いていない。口調は穏やかで囁くように、けれど嬉しいのを必死に我慢しているのがバレバレ。
パチッと目を開けて、視線が交わると、やっぱり我慢しきれずに笑った。
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