4日目(後編)

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 ご丁寧にタコの形になっている赤いウインナーを置いて、去り際に俺の日の丸をさらっていった。そのまま口に放り込んで、カリカリッといい音だな?  他は、魚も野菜も全部食べていた。俺はご飯の上に鎮座する、尊の食べかけ、足が2本ないタコウインナーを口に放り込んだ。美味いのに。  セミだったのは関係ない、世良尊の好き嫌い。あ、ひじきの煮物も好きか?俺もだ。  尊にとってはドキドキの食事。いちいち反応が面白くて、見ていて飽きない。もっと色んなものを食わせてやりたいのに、時間がない。  嘆いても仕方ないのはわかっている。頭ではわかっているが、悲しい。  そんなことを考えながら見つめていたら、絶対に尊は気づく。そして「大丈夫だよ。何も怖くない」って微笑むんだ。  やめろ、俺を泣かせる気か。  ――そうして、昼飯が終わってからは一緒にテレビを見た。ソファーに並んで座って、晩御飯は何が食べたいかとかの話をしながら。  もちろん、手をつないだり軽いスキンシップを挟みながら。ほとんど、テレビの内容は頭に入っていない。  肩を寄せ合って、スマホに映した料理の写真を見せてどんなものなのかを説明。尊の興味を引いたものが、今日の晩飯に決定。  なんっつーか、尊の好き嫌いがよくわかんねぇな。だって選んだ料理がお茶漬けと、ウインナーと野菜炒め、茶碗蒸し、目玉焼きが乗ったハンバーグだぞ?  超簡単だけどさ、赤いウインナーは嫌いなのに普通のあらびきウインナーは大好きみたいだ。
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