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温めるだけの茶わん蒸しに入っていた銀杏にはうめいていたが、食べた。が、無謀なことに半熟の目玉焼きを一口で食べようとして失敗。見事に顎から下を黄色いドロドロまみれにした尊。
子供か!腹を抱えて笑っていたら、顔を真っ赤にして怒った尊に俺の目玉焼きを食われた。
ますます、子供か!また笑って、怒ってモグモグしていた尊もつられて笑って。2人で大爆笑。こんなに腹から笑ったの、家族を失ってからは全然なかったなぁ。
好きな人と一緒に過ごして、笑い合う。俺って、幸せなんだな。
「――ねぇ三日月。オレ、晩酌したい。お酒飲みたい。飲んでいい年齢なんでしょ?いやいや、生まれて4日だけど体は成人男性でしょ」
晩飯を一緒に作って、お決まりだが、野菜を切っている時に指を切った。俺が。
ハンバーグをこねていた尊が、あまりにも「オレも切りたい」とか「これくらい?もっと?」とか頻繁に声をかけてくるから。
ザックリ。風呂に入ってから絆創膏を貼り直していると、尊が肩を揺さぶってきた。
「あと3日もあるのに、やりたいことを今日いっぺんにやっちまったら面白くないだろ?酒は明日だ。度数の低いチューハイからビール、ワインまで用意してやるから楽しみにしてろ」
「甘いのがいい!」
「……チューハイとカクテルしか甘くねぇな」
思いっきり絆創膏がズレてグチャグチャになったので、無言で1発殴ってから新しいのを貼り直……そうとして、絆創膏を奪われた。
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