2日目(前編)

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 神様のご加護か?セミ男の体はどこにも蚊に刺された痕がなくて、恨めしい。日焼けというより地黒?全身が小麦色で細身の体は、やっぱりどことなく木の匂いがした。  人間として生まれて間もなく違和感があるようで、自分の体と俺の体を見比べていたな。  ただ、俺が体を洗っている間に視線を感じて。振り向いたらバッと顔を反らすんだ。知識がついたら恥ずかしくなったか?  俺は別に、同い年の野郎の裸なんて見ても何ともならねぇし。けどさ、セミ男は綺麗だった。  湯上がり、髪をドライヤーで乾かしてやっていたら見えた、ほんのり赤く色付いた顔や首回りが。やけに色気があって、思わずうなじに指を這わしてしまった。  そしたらビクンッ!と肩が跳ねて、セミ男が「へ、変態っ」って笑ったんだ。顔を真っ赤にしてさ。  なんとなく「髪がついていたんだ」とか言って、上手く誤魔化せたけどさ。女とはまた違った感じに、色っぽくて綺麗だった。  それから、軽く水分を摂ってからセミ男を俺の部屋の隣の部屋に案内して。何年も使ってないし干してないから寝心地は悪いかもなって、用意した布団に寝かせる。  俺の妹の部屋だったんだ。もういないんだけどな、布団とか家具とか捨てるのが面倒で洗ったまま押入れに押し込んでいた。  ずっと興奮状態だったが、寝るのは落ち着いて寝てくれた。途中、俺の部屋に入ってこようとしたので怒ってやったらシュンとして引っ込んだが。
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