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 会社の最寄り駅のすぐ側にある、私の行きつけのお店、居酒屋(いざかやえん)〇。  入口にある紺色の暖簾に、白い筆で大きな円が描かれているのが特徴だ。  店の看板メニューは地元特産の地鶏を使用した焼き鳥。  でも海鮮系や揚げ物の種類も多くて、どの料理を食べても絶品だった。  それにお酒の種類が豊富で、女性向けにスイーツも取り揃えている、私のお気に入りのお店なのだ。  だから毎回と言えるほど頻繁に利用させてもらっている。  幹事の仕事で唯一良い部分があるとすれば、その権限で好きなお店を選べる事だろうか。  それ以外は面倒なことばかりだ。  …なんて言ったら部長に怒られるから、口が裂けても言えないけど。  私の所属する営業企画部の良くない所は一年中人手不足な事で、そのせいでいつも幹事は私になってしまう。  というのも新入社員が入ってくるまでは、緋山秋生(ひやまあきら)部長、事務の桐谷咲良(きりたにさくら)ちゃん、そしてマネージャーの私 仲原宏実(なかはらひろみ)の三人しかいなかったのだ。  この部署には女性しかいない。  そして今回も、当然のように女の子が配属されてきた。  それは、何故か。
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