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想定外な発言に、私の思考はぴたりと停止した。
ついでに焼き鳥に伸ばしかけていた手も引っ込める。
…何が、可愛いって?
もしかして、私のことを言ってる?
「あ!あの、私のことは気にせず、たくさん召し上がってください」
「え、あ…うん」
(そんな風に言われたら食べづらいじゃん!!)
なんて心の中の私が叫んでいるけど、大好物が誰かに食べられてしまうのはやっぱり我慢出来ない。
なんか納得いかないけど、ここは遠慮せず食べることにする。
次はいつ食べられるか分からないし。
うん、気にしないのが一番いい。
そうして思案した結果、焼き鳥に手を伸ばした私を見た彼女は、何故か満足したように微笑むと、横に座る緋山部長と会話し始めた。
最近の若い子は上司に向かって、簡単に「可愛い」なんて口にするのだろうか。
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