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こうして馬鹿騒ぎしている私達だけど、もちろん普段はこんなんじゃない。
しっかり、真面目に毎日働いてるし、誇りを持って仕事している。
それに私は、今の仕事が結構自分に合っていると思っている。
…まあ、やりたかった仕事とは程遠いことをしているんだけどね。
「あれ、先輩。グラスが空いてますね。何飲みますか?」
「宏実さん、そろそろビール一気飲み行きましょうよー!今日こそ克服しましょー」
気が効く後輩と、分かりやすく酔っ払って上司に絡む後輩。
まあ、咲良ちゃんはそういう所も可愛いんだけどね。
それに彼女の言ってる事は、日頃私がやりたいと思ってる事だし。
「先輩、ビール苦手なんですか?」
「うん、味が苦手っていうか、苦いし。そういう莉那ちゃんはさっきからビールしか飲んでないね」
「私はほぼビールしか飲まないので。苦味が無いと美味しく飲めませんよ。ていうか……なんか、意外ですね。あ、克服したいなら、試しに私の飲んでみますか?」
「良いねー!はい!宏実さん、グイッと一気にいきましょう!!」
「えっ、ちょっと」
何がどう意外なのか聞きたい所だけれど、あっという間に咲良ちゃんが莉那ちゃんのビールを奪って私の前にドンと置いた。
…本当この子はお酒が入ると強引になるんだから。
突然の展開に戸惑いながらも、目の前に置かれたジョッキを見下ろす。
中で金色の液体がゆらゆら揺れている。
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