遺された者の慟哭

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こんなにも貴方に逢いたいのに、こんなにも貴方に触れたいのに、こんなにも貴方に触れて欲しいのに、こんなにも貴方の声で呼んで欲しいのに、こんなにも貴方の名を呼びたいのに、こんなにも貴方を抱き締めたいのに、こんなにも貴方に抱き締めて欲しいのに 何一つとて叶わない。 願えば願う程に居ない事を痛感するだけ。 貴方の事を考えず貴方を想わなくなってしまった筈なのに ふとした折に耐え難い程じくじく、じくじくと心が痛む 鈍く鈍く瘡蓋になった筈の傷が叫び出したい程に痛んで 貴方を浮かべただけで、いとも容易く瘡蓋から、ゆっくりゆっくり鈍く鈍く血が流れ出すのです。 この頬に伝う滴は、きっと瘡蓋から漏れ出た血なのでしょう。 貴方に、これからも愛して欲しかった。 貴方を、これからも愛したかった。 貴方と、もっと一緒に居たかった。 貴方に、もっと一緒に居て欲しかった。 貴方に愛していると言いたかった。 貴方に愛してると言って欲しかった。 貴方の願いを叶えれば良かった。 貴方の願いを叶えられたら良かった。 もっと貴方との時間を大事にすれば良かった。 もっと貴方を大事にすれば良かった。 きちんと貴方の笑顔を覚えていたら良かった。 貴方が私を呼ぶ声を覚えていたら良かった。 貴方に、もっと触れれば良かった。 貴方が死を選ばないように貴方の気持ちをもっと楽に出来るように頑張れば良かった。 貴方に死を選ばす程に不出来でなければ良かった。 貴方が追い詰められていると気付けば良かった。 貴方が産まれて来て良かったと想えるように もっと色んな事をしてあげれば良かった。 もっと頑張れば良かった。 もっと日常の幸せを 当たり前の幸せを 貴方が生きている幸せを 噛みしめて感謝して、大事に大事にすれば良かった。 痛い、痛い、痛い。 被害者ぶる自分の醜さと、貴方に何もしてやれなかった事と、貴方が居ない事と、貴方が亡くなった事と、貴方との想い出が痛い。 きっと、この後悔が想いが消える時は無いのでしょう。 きっと、これからも胸掻きむしる程に叫び出したい程に貴方に逢いたいと願う事は止めれないのでしょう。 きっと、これからも貴方を思い出して私は幾度となく泣くのでしょう。 きっと、これからも貴方に生きていて欲しかったと思い続けるのでしょう。 きっと、これからも貴方に愛されたかったと愛したかったと想い続けるのでしょう。 きっと、これからも素っ気ない最後の言葉なんかでなく愛してるの一言が欲しかったと思い続けるのでしょう。 きっと、これからも歯を食いしばる程に、みっともなく泣き喚く程に貴方に触れたいと貴方に逢いたいと思い続けるのでしょう。 そして私は、どれ程の時を重ねようとも己の生が続く限り貴方を想い慟哭し続けるのです。
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