違和感だらけの一日

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教室に向かうと、親友の知世がいた。 「おはよう、知世」 「おはよう、里香」 振り返った知世の顔を見て、今までの違和感の正体が分かった。 目が真っ赤に充血している。 白目のところが真っ赤に。 「ねぇ、知世。目、痛くないの?」 「何のこと?」 「目、真っ赤に充血してるよ?」 荷物の中から小さな手鏡を取り出し、知世に差し出す。 「それを言ったら里香の方が痛そうだよ」 「何が?」 「里香、全身傷だらけで血だらけだよ?」 「へ?」 足元を見ると、自分を中心に赤い水溜まりができている。 知世に差し出した手鏡で自分を見ると、頭からおびただしい程の出血をして、顔は傷だらけ。 手足はたくさんの擦り傷。 中には切り傷もある。結構深い傷なのだろう。出血が止まらない。 だけど、全然痛みを感じない。 「え?え?…どういうこと?」 動揺が止まらない。 どうしたらいいんだ? っていうか、目の前の知世は何もせずにただただ傍観している。 助けてくれてもいいのに。 「知世、助けてよ」 「ごめんね、もう助けられない」 「どうして…」 「ここは死後の世界だから」 「死後の世界?」 「そう。死後の世界」 「冗談は止めて?」 「冗談じゃなくて事実」 「嘘っ!」 「周りを見て。さっきまでいたクラスメイトはどこへ行ったの?」 さっきまでいたはずのクラスメイトは誰もいない。 物音ひとつ立てることなく教室から出て行くなんて無理。 怖くなって教室を出て、学校から出る。
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