ラーメン屋で別れ話

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ラーメン屋で別れ話

冬の雪の降る街灯の下。屋台のラーメン屋で二人の男女が会話をしていた。 「怒っているのか」 男性が女性に聞く。 女性は微笑みを浮かべながら言った。 「怒っていないわ。ムカついているだけ」 「怒ってるのと同じじゃーん!」 男性は上を向いて嘆いた。 そして女性に頭を向ける。 「きみが1番だから・・・」 「2番も3番もいたら駄目なの。私一人じゃないと」 「だけど、寂しいし・・・」女性はため息をついた。 「だから、もう終わりにしようと言っているの、私はいつでもあなたのそばにいれるわけじゃない」 「確かにそうだけど・・・」 男性が渋っていると、女性はテーブルにお金を置いた。 「はい、ラーメン代」 「あ、待って・・・」 男性は女性に手を伸ばしたが、 女性は素早く走り去ってしまった。 男性はテーブルに突っ伏す。 「大丈夫ですか?」ラーメン屋の店主が聞いた。 「あまり・・」 「浮気はよくありませんね」 「はい・・・でも彼女は仕事が忙しくて、会えないことも多くて だからつい浮気しちゃったんですよね」 店主は苦笑いした。 ラーメン屋で男性と別れた女性は自分の家に帰った。 玄関に入ると、「ママ―」と言って小さな子供たちが女性に抱き着き、 「おかえり、仕事大丈夫だった?」と女性の夫が言った。
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