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相談する相手
「君の愛が欲しいんだ」彼が言った。
「何?急に」
今は朝食の場である。炊き立てご飯、卵焼き、きゅうりの漬物、しめじの味噌汁と典型的な和食だ。
早起きして作った。我ながらいい出来である。
この完璧な朝食を前にして何を言い出すのか。
「君から好きって言ってほしい」
「好きだよ」
私が一秒の間もおかず言うと、彼は「ははは」と声を上げた。
「ははは、ありがとうございます、でもね好きって言葉はもっと恥じらいを持って顔を赤らめてはにかんでね」
「はにかむ・・」
私は口をひきつらせた。
「・・・もういいよ、無理しなくて」
「というわけで彼女が俺に対して愛を示してくれないんです」
「ああ・・・それは・・・」
デパートの一角にある占いのコーナーで彼は泣いていた。
「まあ、一緒に暮らしているなら、愛はあると思います」
「そうですか?」
「今月がプロポーズするには最適な運勢ですね」
彼は目を輝かせた。
「はい、ありがとうございます!彼女が感動するようなプロポーズにします」
彼が帰った後、私は占い師のマントを外した。
「彼は私がここの占い師ってこと知っているはずなんだが・・・どんなプロポーズをしてくれるだろう」
彼女の顔は赤く、はにかんだ笑顔だった。
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