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都内にある、現代アート大学では文化祭が開催されていた。
その最も注目を集めているのは『人間美術館』の発表会場。
色々な立体系の美術作品を、生徒自身が表現することになっていた。
が……
3年生のチアキは『考える人…ならぬ…考える女』に扮して台に座った。
その隣にやってきた同年のコウジは『小便小僧』に扮してポーズを取った。
するとチアキが、隣を見るなり、
「ちょっと、私の隣に立たないでよー!」
「えっ、どうして?」
コウジは困惑気味に訊いた。
すると彼女は、さらに彼を睨むようにして、
「とにかく、私から出来るだけ離れてー!」
「分からないな……。僕はただ『小便小僧』を表現しているだけだよ」
「それがマズいの!」
「はっきり言いなよ! なんでそんなに僕のことを嫌うのか?」
それを聞いていた関係者の男たちも、
「そうだな。彼女が、それほど彼を嫌いな理由って何なんだ?」
「なかなか良い出来じゃないか……」
すると『考える女』に扮したチアキが立ち上がり、
「じゃ言うわ。あなたを嫌いな理由はね――
私とあなたが並んでる状況を客が見たら、私のことは、
『大便してる女』
を連想するに決まってるからよ!」
――おわり――
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