一身上の都合

1/4
前へ
/92ページ
次へ

一身上の都合

当時、私は入社1年目。 会社の前に植えられた街路樹の銀杏の葉が落ち、歩道に黄色い絨毯が敷き詰められた頃、気の合う同期の智也(ともや)に告白され、付き合い始めた。 交際期間が4年を超えた頃、私の中でそろそろ…と将来を考えるようになったけど、智也からは何のアクションもない。 どうすればプロポーズしてもらえる? そんな事を思っていた矢先、智也にお洒落なイタリアンレストランに誘われた。 ゴールデンウィーク明け、最初の金曜日の事だ。 私は期待に胸を膨らませて、精一杯のお洒落をして待ち合わせのレストランに向かう。 いつも通り食事をし、ドルチェまで食べたが、プロポーズらしき言葉は出てこなかった。 私が諦めかけたその時、智也が口を開いた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2316人が本棚に入れています
本棚に追加