僕のはじまり

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 それから先の事は覚えていない。眠気が倍になって戻ってきて、ぐっすりと眠ってしまったのだ。途中に階段があったはずなのだが、また面倒をかけてしまったようだ。  僕は幸せ者だ。国中で病気がはやり、みんな大変なのに僕は寝心地のよいベッドで眠り、起きたら栄養バランスの考えられた食事が用意されている。そして家族も使用人も優しくて、手厚く世話をしてくれる。とても恵まれている。まるでズルをしているみたいだ。  頑張らないといけない。早く年相応の知識を覚えよう。お父様の後を継ぐお兄様の支えになれるように、この生活を支えてくれている使用人や国民のためになれるように、僕は立派な大人になろう。  僕ができることはそれしかない。だからそれをしなくちゃいけないんだ。
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