25 就職

1/1
54人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ

25 就職

 あれから二年たち正樹は大学を卒業し、厳しい採用試験の中を乗り越え、めでたく中学校教諭となった。そして勤務校が実家から遠かったので一人暮らしを始めた。  この二年間の中で変わったことと言えばミストが結婚し、☆乙女☆は調理専門学校を卒業して正樹より早く就職をしていたことだ。  正樹も☆乙女☆も相変わらず特定の恋人がいないまま過ごし、一度また一緒に名古屋まつりに行った。  ☆乙女☆が料理全般に興味があるようなので、今度二人で横浜の中華街に行こうと誘ってある。(今度こそ告白しよう)  正樹は初めて会った日から☆乙女☆のことが頭から離れなくなっていた。恋い焦がれるような情熱的なものではなかったし、他の女とも付き合ったが、いつも体の関係に発展する前に終わってしまう。 正樹に性欲がないわけではないが、自己処理で十分で相手を『欲しい』とも思ったことがなかった。  ☆乙女☆に対しても性的な意味で欲しているわけではないが、今の関係を続けていきたいと思うと恋人関係が一番適していると考えた。そしてきっと遠距離でも☆乙女☆とは続けられると思った。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!