3 ギルド入り

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3 ギルド入り

『Knight Road』通称『KR』は二国に分かれて戦うMMORPGで大規模多人数同時参加型オンラインRPGと言われるものだ。二国はそれぞれ獣人である亜人種とヒューマンに分かれていてる。 星奈はゲームにログインした。 ローディング画面が流れ、☆乙女☆が登場する。  画面の中の☆乙女☆は桃色の妖狐だ。少し大人っぽい気がするが星奈は昔、修一に読んでもらった絵本のおかげで狐が好きなのだ。 職業はヒーラーを選んだ。やはり修一の影響だろうか。自分でもなぜこのゲームを始めたのかわからない。兄のおさがりの携帯ゲーム機を少しばかり触ることはあったが、特にゲームが好きと言うわけでもない。 ただ年月とともに離れていく兄との距離が切なくなり、同じことに触れていたい気持ちがあったのだろう。ぼんやりとチュートリアルを眺め、促されるまま大きなミミズの様なワームと言うモンスターを倒しに行った。  レベル一ではマイヒールという少しだけHPを回復させられるスキルしかなかった。NPCからもらった棍棒を持ちワームを殴る。殴ると体当たりされ☆乙女☆のHPのゲージが三分の一が削られた。こちらが殴るとワームのHPは半分減る。一匹倒してはマイヒールを打ち、なんとか五匹倒した。しかしクエストでは三十匹倒さねばならない。  気が付くと近くで銀白色のウサギが立っていた。キャラクターの上には『月姫』と書いてある。☆乙女☆の武器とは違い金属の細長いタクトの様な杖を持っている。恐らく魔法使いだろう。 月姫:こん 声を掛けられた。これが初めてではなかったが、どうすれば会話ができるのか調べておらず、無言で立ち尽くしていると相手は去っていった。星奈は今度もそうだろうと思いじっとしていた。すると再度、月姫は話しかけてくる。 月姫:チャットできる? Enter押して、普通に文字打つんだよ ☆乙女☆:ありがとお できませた ☆乙女☆:できました 月姫のおかげでチャットができるようになった。さらには一緒にクエストをこなしてくれるらしい。月姫は杖を振るい雷を落とす。五匹沸いてるワームをまとめて攻撃できる範囲魔法を使えるようだ。 レベルが☆乙女☆に比べると随分高いのだろう。ワームに攻撃されてもあまりHPは減らないようだ。しかし☆乙女☆は気持ちばかりの回復魔法をかけ、ワームの落とす宝箱を次々と開けて行った。レベルも三ほど上がった。 ☆乙女☆:すごいいです ありがとうございあmす 月姫:ネトゲ初めて? ☆乙女☆:うn でもおもしろいよ 月姫:その職だと誰か攻撃職の奴と組まないとこれから辛くなるよ ☆乙女☆:そうですかあ 困ったなあ 月姫:ギルドはいったら ☆乙女☆:ぎるど・ ☆乙女☆:?  親切な月姫は、詳しくこのゲームでの目的を教えてくれる。☆乙女☆にはまだ目的意識がなかった。しかし一緒に遊べる仲間がこのネット上でいるのかと思うとなんだか世界が広がった気がする。なんせ目の前のこのウサギの魔法使いは、自分と同じようにどこかでパソコンを使って操作しているのだから。  月姫とのチャットを食い入るように見ていると、そこへ大きな狼の戦士が通りがかり声を掛けてくる。名前はミスト。月姫の知り合いのようだ。名前の上に『アンダーフロンティア』とギルド名が表示されている。 ミスト:hi 月姫:こんちゃ ☆乙女☆:こんいちは ミスト:俺ギルド入ったんだけど月姫もどう? 気楽でいいとこだよ ☆乙女☆:わたし入れてもらえmすか・? ミスト:プリはいつでも歓迎だと思うよ 月姫:じゃあ私も入ろうかしら ミスト:本土おいでよギルマスいるからさ  ミストと月姫についていくと港町についた。キャラクターを作り、ログインした時にも同じ場所に降り立ったが周囲を良く見ていなかった。改めて見ると、人間と獣人が入り乱れ、露店も多く出されている。 最近学校で習った、外国の蚤の市のようだ。ここは中立的な場所のようで、敵味方関係なく売買を行えるようだ。月姫がここで装備を購入して、キャラクターを強くしたり、格好良くしたりすると教えてくれた。 なるほど、☆乙女☆の持っている棍棒よりも洗練されたステッキがある。 しかし先には殴られると痛そうな、棘のついたボールが施され、どうしてこれが『モーニングスター』と言う名前なのだろうか、とモニター前で首を傾げた。 気が付くとミストと月姫がゲートと呼ばれる移動装置の前に居る。 月姫:ほら本土いくよ ☆乙女☆:はい  いよいよ獣人国家の本拠地に行くことになった。 大きなレンガ造りの門をくぐり、角ばったウエディングケーキの様な城の前に立つ。まるで古い時代の外国にでも来たような気分だ。 ミストが城の前に立つ、ライオン顔の甲冑を着たKAZUと言う名前の戦士に話しかける。ギルドマスターだ。 狐が好きで安易に獣人国家を選んだが、この国の戦士は猛獣の類がほとんどで、近くで見ると味方であるのに怖かった。選択をミスしてしまったか、とも心配したが、月姫のたおやかなウサギ姿を見ると和んだ。知らず知らずに、月姫のそばに寄り添うように立っている。  色々と手続きを終え、晴れて☆乙女☆も『アンダーフロンティア』、通称『アンフロ』の一員となった。 このオンラインゲーム『Knight Road』は配信されたばかりで、今はまだレベルや装備に差は現れていない。ほかのギルドメンバーが五人ほどいて、みんなで一緒に狩りに行ったが特別☆乙女☆が劣っている様子はなく安心した。(月姫のおかげだ) 月姫が夕ご飯を食べると言いログアウトしたので、☆乙女☆も同じくログアウトした。  パソコンの電源を落としてしまうと、少し疲れを感じぼんやりした。しかし夕方の物悲しい時間帯を楽しく過ごせて満足している。(明日も月姫いるかなあ) 星奈は、漂うだしの香りに気づき、空腹を覚えて食卓へ向かった。
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