厄介事

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 何の躊躇もなく、遥がドアを開ける。  がこーんっと潔い音を響かせたスライド式のドアは反動が強かったらしく、すごすごはね返ってきた。  開け放たれた空間には、男子四人に女子一人。胸ポケットに付けられた校章バッジの縁取りが青で、ひと目で同じ二年生だとわかった。 「あんた、これいじめられてるわけじゃないよね」  小声で後ろに隠れている奈々子に確認すると「前までいたけど意味が分からなかったから」となかなかに強気な発言が返ってくる。ひとまず安心した。  後輩は一人もいない。そそくさと教室に戻ったのだろうと遥は勘ぐった。先輩たちが数人でたむろしているだけでも萎縮するのに、朝からなら尚更キツいに決まっている。  さて。いきなりドアが開かれ、見覚えのあるかどうか微妙なポニーテールの女子が仁王立ちで立っている。倉庫内のほぼ全員が呆気にとられていた。 「あれ、ハルさん」    真を除いては。
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