厄介者

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 とにかく今日も一緒になってしまったのは仕方ない。  奈々子は諦め半分でいつものように覚悟を決めて、彼と一緒に電車に乗り込んだ。この時間帯はだいたいもう座席は埋まっている。つり革を掴むのがやっとな背丈の奈々子に対して、真はつり革のパイプをしっかり掴んだ。 「君はもうちょっと車両の奥まで行ったらどう」 「おれも奈々子とここにいる」  最後の足掻きも失敗した。奈々子は出そうになった溜め息を何とか飲み込んで「そう」とだけ相槌を打った。今日は自分の中で一番上手く部室を後にしただけあって、ダメージが大きい。 「あ。そうだ、アリ」  落ち込んでいる奈々子に気づく訳もなく、真は何か思い出したのか声をかける。呼ばれて奈々子は面倒くさそうに俯き気味の顔をあげた。 「お前さ、なんでおれの事おいていくんだよ」  背の高い彼が少し不機嫌そうに首を傾げていた。一瞬何を言われたのか分からなかったが、みるみる奈々子の眉間には皺が刻まれていく。 「……は?」  これだけ返答するのが精一杯だった。 「お前さ、なんでおれの事おいて」 「ごめんわかった二回も言わなくていい」  自分で聞いておいてなんだが言わせるものか、と奈々子は矢継ぎ早に真の言葉に被せる。空耳と思ったがそんな都合のいい話ではなかったようだ。
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