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昼休み開始時刻と同時に、奈々子はいそいそと準備を始めた。もはや慣れしかないのだが、昼休みとの時間指定があれば『昼ご飯は食べられない』と同義だ。
奈々子が一年生の部員数名に伝えた時には、何人かが悲しげに眉尻を下げていた。授業の合間の休憩でこっそり食べるか、いっそ部活前に掻き込むしかない。
「ミーティング、そんなに嫌?」
「んー。正確に言えば、ミーティングが嫌って訳じゃないんだけど」
遥が売店にパンを買いに行くと言うので、途中まで一緒に行くことになった。
部活に所属していれば、ミーティングぐらい山ほどある。この監督の無茶ぶりに従わなければならない、嫌な風習と空気が嫌だ。これを経験して大人になる云々と言われたが、あんな時代遅れの大人になるのはごめんだなと奈々子は常々思っている。
「けど?」
「部活の仕組み、というかなんというか。あんま上手く言えないけど」
「ふうん」
遥は財布をかばんから出しつつ、曖昧に返事をする。奈々子のどこか煮え切らない態度にすぐに気づいたが、追求はしないことにした。
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