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「その話があって、マネージャーのこと覚えられたんだけどね」
遥が下敷きをヒラヒラ振りながら笑った。この様子だとあの後の件はバレてないようだと奈々子は内心ホッとする。
「ところで」
話の切り替えついでに、遥がいそいそと長いポニーテールを結び直し始めた。奈々子が聞くよりも先にもう一度遥が口を開く。
「今、何時?」
「八時すぎだけど」
腕時計を確認しながら答えた奈々子に、遥はにんまりご満悦顔を浮かべた。予鈴がなるまでにはまだ二十分程の余裕がある。
「あのさ。まさかと思うけど行ってみたいとか思ってないよね?」
「あら、さすが。よく分かってんじゃん」
そう答えた瞬間、遥がすっくと立ち上がる。そのまま、奈々子の手首をぐいと掴んだかと思うと教室を飛び出した。
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