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「なんだろう」
綾乃は基本、男子と会話しない。
ほとんどが小学校からの持ち上がりだから必要あれば話しかけられるけど、意識したり親しくなったりする存在ではなかった。
「まあ、いっか」
この日、綾乃は一段と冴えない時間を過ごした。
理由は単純明快。綾乃自身が冴えないからだ。
一人が楽なくせに浮くのは嫌で、そこそこいい人に見られたいから積極的じゃないけど親切な振りをする。
頑張ってるクラスメイトを冷めた目で眺めながらも、ひそかに羨んでしまう体たらく。
「こういうのも青春っていうのかね」
片肘をついて他人事につぶやいてみたって、綾乃が青春に片足も引っかけてないことは、よくよく承知していた。
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