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青春とは痛くて酸っぱくて独りよがりだ。だけど、絶対に一人じゃない。
自意識過剰で卑屈になって、誰かと比べて嫉妬する。対等じゃないと不平不満を述べながら、同じ土俵で横並びに比べてしまうのが青春だ。
綾乃の場合、羨む誰かは世界の中心にいる人ばかりで、周辺で流されているような自分とでは比べようがなかった。
「しょうもなぁ」
続けて、「さっさと帰ろう」とつぶやいたつもりが、音としては「クアー」と聞こえた。
人間だと上腕二頭筋らしき筋肉を使ってバサバサと羽ばたき、上昇気流を掴まえる。
無条件で赤や黄色や青だと認識していた色が、カラスの目には大変複雑で美しい。それだけで、心が洗われるようだ。こういう体験をしてしまうと、人間なんて何様きどりだと下に見えてしまう。
空気を読んで鬱屈するよりも、カラスを見習って風を読む方がずっと健全というものだ。
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