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カラスが空を飛ぶ。
そんな日常動作ひとつで綾乃の心は弾んだ。運動が苦手な烏丸綾乃だと走ったところで疲れるばかりで、本当に大嫌いだったのに。
ランナーズハイの存在を知っていたって、どれだけ走れば辿り着ける境地で、どのくらい長く味わえるかも怪しい現象だ。その点、カラスは気楽に極楽気分を楽しめる。飛び上がる瞬間から気持ちいい。
ただ、ちょっと考える。
カラスの身で空を飛ぶ快感を特別に感じるのは、自分が人間の烏丸綾乃という自覚があるからこその感覚なのだろうかと。
「うーん」
今日の綾乃は、哲学思考にハマっているらしい。ただ、カラスになってまですることかと考え直したので長続きはしなかった。
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