牛乳

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「あ、そうだ。今日はいいものを持ってきてあげたんだよ」  そう言う弟君は、昨日と違って、ランドセルじゃないリュックを背負っていた。  見れば、近くに衛藤兄より一回り小さい自転車が置いてあって、家に帰ってから公園まで出てきたのかもしれない。  兄は制服のままだから、学校帰りにでも待ち合わせしていたのだろう。 「じゃーん、カステラと牛乳だよ。僕のとっておきのおやつなんだ」 「(つばさ)。だから、一回、家に帰ったのか?」 「うん。牛乳はちっちゃいのがなかったから、コンビニで買ってきたんだ」  兄の疑問に、ご機嫌に答える弟君。  そうか、君は翼君っていうのか。 「カー子。いま、あげるね」  翼君は200mlのパック牛乳を置くと、ラップに包んできたカステラを出そうとして、お兄ちゃんに止められた。
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