牛乳

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「ほら、カー子の分は」  手を出す兄に、翼君は納得のいっていない顔でカステラを大きめにちぎって渡した。 受け取った兄は、肩に乗る綾乃の前に手のひら皿でどうぞと運んだ。 「やっぱり、兄ちゃんはずるい」 「何回、手を洗う気だ?」 「ぶー」  翼君の好意はありがたいのだけど、カー子をかわいがりすぎるから仕方ない。兄の配慮が充分理解できる中二のお姉さんとしては、兄の手からもらうことにする。  だけど、ちょっとためらいはあった。  カラスになって食べるのは初めてだ。それに、くちばしが凶器にならないか心配だった。
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