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「カー子、遠慮しなくていいんだぞ」
残念ながら、遠慮するつもりはなかった。
カラスなりにお腹が空いているので、食べる気は満々だ。
よし。
意気込みとは裏腹に、綾乃はそろっと首を伸ばしてくちばしで摘まんでみる。
カステラは柔らかくて、ぼろっと崩れたから、摘まめた分を上を向いてのどに落とし込む。
人間の時とは違う味わいがするものの、カラスでもカステラは美味しく感じられた。
自分で思っているよりお腹が空いていたのか、いけるとわかったカー子の綾乃は夢中になってがっついた。
ハッと我に返った時には、衛藤兄の手にはボロボロのカスしか残っていなかった。
とりあえず、血だらけのホラーショーになってなくて安心した。
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