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バサバサッと着地して、えっちらおっちらデニムの足場を踏みしめてから、くちばしを上げる。
翼君は目を見開いて固まっていた。
まばたき一つしていない。
さすがに、小学生を相手に馴れ馴れしすぎただろうかと気まずく後ずさりしかけていると、翼君が急にはじける笑顔に変わった。
「あー、びっくりした。カー子も僕に会いたかったの?」
なでなでしながら聞いてくるので、気持ちよく「カー」と返事した。
人間同士ならちゃっちいセリフも、カラスになると素直に胸に響く。
それとも、相手が純真な翼君だからなのだろうか。
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