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宝箱
本日は土曜である。予定はまだない。
昨日は家族でノーカットの金曜ロードショーを観ていたから、綾乃は少々眠かった。
起きたところで、ぼんやりテレビを観て、お昼ご飯を食べ終えただけだけど。
休日は何もしなくても消費されていく。休日の本質とは、こういうものだと綾乃は信じている。
休むから休日。はりきって遊ぶなのら、それはもう遊ぶ日だ。
「綾乃、買い物に行くから付き合ってくれる?」
「いいけど」
鏡の前で母親が身支度をしている奥のテーブルにはチラシが広げてあって、本日5%引きの売り文句が踊っていた。
アイスでも買ってもらおう。
綾乃は部屋に戻ってパーカーを羽織ると、小さめのカバンを斜めがけにして外に出た。
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