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「止めなさいよ。」
良く通った声が、教室内に凛と響いた。
その声の主、花鈴は、大河につかつかと近寄る。
「なんだ。また止めにきたのか。面白いところだったのに。」
「先生に注意されているでしょ。瞬の赤面症のことをからかうの。」
「幼馴染だから、ある程度、許されているけど、いいかげんに止めたら。」
「昔からの俺の癖なの。」
大河は、にやりと笑うと、瞬に「お前をからかうのは、俺の特権だよな。」と意地悪そうに同意を求めてきた。
瞬は、大河の問いに沈黙で、返答した。
「いくら幼馴染だからって、言いすぎ。」
その言葉を聞いた花鈴は、すぐさま呆れたように大河に言う。
「お前の方が、昔は、三人で、公園で遊んでいた時、瞬のこと、おサルちゃんって言って、からかって、泥ダンゴをぶつけていたくせに。」
「あれは、昔のこと。」花鈴は、強く否定する。
「今では、お前、担任のお気に入りの優等生。お気に入りだから、止めにきたの?」
瞬は、大河のからかいが、自分より花鈴の方に矛先が向いてきたので、なんとかこの場を早く治めたいと思った。
それに、いつもの大河のいやがらせに、花鈴を巻き込ませたくない。
瞬は、少しためらったが、決心し、荷物の中のプレゼントを取り出した。
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