4/4
前へ
/14ページ
次へ
「あなたが、好きです。」 瞬は、セロファンに包み、赤のリボンで結んだワレモコウのドライフラワーを、片ひざをついて大河に渡すポーズをとった。 花鈴には、その姿が、ロミオとジュリエットのロミオのように見えた。 瞬のプロポーズに、瞬を取り囲んでいたクラスメイトは、呆気にとられ、大河は、瞬をぼうぜんと見ている。 「僕の気持ちを受け取ってください。」 瞬の花束を持つ手が震え、セロファンの中の二本のワレモコウの赤い花が、触れ合っている。 「おうよ。」 大河は、ばつが、悪いのか、短く返事をし、瞬の手から、もぎとるように花束を受け取った。 そして、何も言わず花束をもったまま、教室の外に出ていってしまった。 同時に、瞬のまわりのクラスメイトも退散し、教室の中には、瞬と花鈴だけになってしまった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加