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「あなたが、好きです。」
瞬は、セロファンに包み、赤のリボンで結んだワレモコウのドライフラワーを、片ひざをついて大河に渡すポーズをとった。
花鈴には、その姿が、ロミオとジュリエットのロミオのように見えた。
瞬のプロポーズに、瞬を取り囲んでいたクラスメイトは、呆気にとられ、大河は、瞬をぼうぜんと見ている。
「僕の気持ちを受け取ってください。」
瞬の花束を持つ手が震え、セロファンの中の二本のワレモコウの赤い花が、触れ合っている。
「おうよ。」
大河は、ばつが、悪いのか、短く返事をし、瞬の手から、もぎとるように花束を受け取った。
そして、何も言わず花束をもったまま、教室の外に出ていってしまった。
同時に、瞬のまわりのクラスメイトも退散し、教室の中には、瞬と花鈴だけになってしまった。
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