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始業時間は、とっくに過ぎ、結局、二人は、大河にからまれたため、音楽の時間をサボる格好となってしまった。
「今から授業に行く?」花鈴は、瞬に聞く。
「音楽の先生は、気難しいから、だめだよ。」
瞬は、真っ赤になっている顔を見られたくなくて、教室の床を見ながら、花鈴に言い続ける。
「それに今日は、合唱の練習だよ。二人ぐらい抜けていても、大丈夫だよ。」
瞬は、音楽の授業は好きだが、合唱の練習になるとさぼっていることが、多い。
人に長時間、まわりを囲まれていると、赤面症が、出ているのではないかと、心配になって、歌うことに集中できないのだ。
でも、今は、それを克服しようと、必死になって、合唱の練習に出ている。
「成績が気になるなら・・・」と言いかけて、顔を上げ、瞬は、花鈴を見ると、花鈴は、瞬の話など聞かずに、近くの自分の机で、さっさと持ってきた小説を読んでいる。
(あいかわらずだな。)瞬は、微笑んだ。
保育園のとき、瞬と花鈴と大河は、お昼寝の時間に眠れなくて、ずっと起きていた。
おまけに、大河は、その時から、やんちゃで、先生達をてこずらせていた。
そのおかげで、瞬と花鈴は、自由にその時間を過ごしていた。
瞬は、花鈴と遊びたかったけど、
花鈴は、瞬のことなんか気にも止めず、自分の好きなことをやっていたことを、教室で小説を読んでいる花鈴を見て思い出した。
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